1996年。週末のキャットストリートや、今はなき伝説のショップの前にできていた(らしい)長蛇の列。(俺その時中学生)
当時のストリートの頂点的なブランドの一つ「グッドイナフ( GOODENOUGH )」でした。ちなみに初めて買ったのは先輩から買ったGロゴのTシャツ。

あれから約30年。当時の熱狂を駆け抜けた僕らの遊び場は、いつしかコンクリートの街やら真夜中のクラブから(ソニテクのあの感じとかスペシャのあの感じとか)土の匂いがする「山」や「自然」へとシフトしています。※調べたらソニテクのHPまだあった。やばい。
機能性を極めたUL(ウルトラライト)ギアや、最新のGORE-TEXウェアの快適さは、一度知ってしまうとああ手放せない。
しかし、頭の先から足元まで優等生なアウトドアブランドで全身を固めることに、どこか物足りなさを感じる瞬間はないでしょうか。今回のアイテム「山であえて被ってもかっこいいかも」と思い購入しました。

そんな、かつてのストリートの匂いを捨てきれない僕らの前に現れたのが、Scale Craft(スケールクラフト)さんが手がける、96年製キャップの「リプロダクト」モデルです。
本記事では、裏原宿の歴史を現代に蘇らせる「Scale Craft」さんの帽子について実際に購入できてしまったのでレポートしてみます!
■目次
ただの復刻ではない。Scale Craft さんの歴史の厚み

現代において、過去の名作をサンプリングしたアイテムやレプリカは無数に存在します。しかし、Scale Craftが展開するこのキャップは、単なる見た目の模倣ではありません。

彼らが特別なのは、当時のグッドイナフのキャップを「そもそも制作していた職人さん」ということ。そりゃ歴史の厚みが違うよ。と。90年代半ばの裏原黎明期において、グッドイナフの初期型・後期型キャップのOEM生産を実際に手掛けていた「作り手ご本人」なのです。
ご本人が「裏原の帽子はかなり作りました」とホームページで語られている通り、当時のシーンの熱狂を黒衣として支え続けてきた伝説の存在なのでは(僕的に)と驚いてしまいました。
忠実に再現される96年製ディテールを見ていく

今回レビューする「96年製リプロダクト」のディテールを見ていきましょう。オリジナルを被り倒した経験がある人なら、一度手に取った瞬間に「あの感覚」がフラッシュバックするかもしれないなと思いました。

俺はなんとなく「HFAでムラジュンさんがかぶってたんじゃないかなぁ」とキューティーの誌面が脳内をフラッシュバックしました。
絶妙な「スミクロ」感漂うコットン生地

当時と全く同じ生地はもう存在しないそうですが、代わりに「VINTAGE」と銘打たれた綿100%の生地をチョイス。パキッとした真っ黒!というよりは、少し色が抜けたようなスミクロに近い色合いが、当時のあの独特な空気感を醸し出しています。
見えない部分まで「当時のまま」な縫製

ステッチの幅(針目)をあえて広めにしたり、裾にステッチが出るようにまとめたりと、今の大量生産品とは違う「当時の作り方」をそのまま再現しているようです。



おでこが当たる部分のパイル地や、裏側のテープをあえて「切りっぱなし」にするラフさなど、被る本人しか気づかないような部分への愛情がたまりません。なんか僕も製品を手に取った時「新鮮なのに懐かしい」という感じがしました。あれ…心からポカポカする…
無骨さがたまらないレザーベルトとバックル

後ろのバックルは、初期型と同じロゴ無しの「黒ニッケル」を採用。レザーベルトは当時より少し硬めの革を使い、フチの処理をしない「抜きっぱなし」にすることで、味わいを残しているそうです。(ちなみにベルトの色は黒、茶、白から選べましたが僕は黒にしました。)
作り手と直接繋がれる、温かいサイズ展開

サイズ感はレギュラー(55cm〜59.5cm)に加えて、さらに嬉しいのが、レザーベルトの長さを当時のもの(12.5cm)からプラス2cmもご用意していただき、実際にメールで確認をいただきました。もちろん頭デカい僕は+2cmを選択。こんなやりとりも嬉しかったです。
GEのロゴがなくても、この帽子が放つシルエットと生地感だけで、わかる人にはわかる。そんな暗号のような美しさが、このリプロダクトには詰まっています。
ガチのUL装備に、あえて「裏原の歴史」を被るという提案

さて、ここからが本題です。ストリートの文脈においては完璧なこのキャップを、僕らはどう使うのか。結論から言えば、「最新のハイテク山ギアに合わせて、あえてフィールドで被る」というのもアリだなーと思いました。
もちろん、登山のセオリーから言えば、コットン製のキャップは「非推奨」かと思います。でも海外のロングトレイルのハイカーさんで結構コットン被ってんだよなぁとか思うんですよ。(色褪せまくったカーハートとかかっこいい)。
コットンは大雨が降ればズブ濡れになりますし、稜線で汗をかけばナイロンやメッシュのようにすぐには乾きません。命に関わるような過酷なアルパインクライミングや、冬の雪山とかはダメ・ゼッタイレベル。

しかし、週末に気の置けない仲間と近郊の低山をハイキングしたり、山頂でゆっくりとコーヒーをドリップしたり、下山後にそのままローカルな町中華に雪れ込んだりするような、僕らの「日常の延長線上にある山行」において、そこまでシビアなスペックが常に必要じゃなくてもアリかな。と個人的に思いました。

Dyneema(ダイニーマ)やX-Pacで作られたソリッドなバックパック、超軽量なシェルジャケット。そんな最先端のULギアに、あえて96年のあの感じを再現したローテクなコットンキャップを合わせる。
この「ハイ&ロー」のミックス感が、全身アウトドアブランドで固めたスタイルには絶対に出せない、大人(というかサブカル厨二病のオジサン)の余裕と抜け感を生み出します。
山だからといって自分のルーツをリセットするのではなく、ストリートで培ったカルチャーをそのままトレイルに持ち込む。汗を吸って色褪せたScale Craftのリプロダクトキャップは、自分だけののヴィンテージアイテムになって、山の風景に驚くほど自然に溶け込んでいく…はず!(汗で塩ふいて)
実は山で即戦力になるScale Craftの隠れた名作たち
「とはいえ、やっぱり夏の低山でコットンは暑すぎる」「もっとガシガシ洗える実用性も欲しい」という方もいるでしょう。実は、Scale Craftの魅力はクラシックなリプロダクトだけにとどまりません。
彼らのラインナップを掘り下げると、現代のフィールドで「普通に山で使える」実戦的な帽子も数多く手がけられいるようです。
特に気になったのがON AIRさんで展開されていたようなベンチレーションハットやUUUUさんで展開されていた「兜ハット」など気になりまくります。
夏場の強い日差しを遮るためのハット類も、アウトドア専業ブランドの「いかにも」なデザインとは一線を画す、都市生活とシームレスに繋がる洗練されたパターンで作られているように見えます。欲しい!
長距離の耐久レースや、雨天が予想されるOMM(Original Mountain Marathon)のようなハードなイベントでは、こうしたScale Craftさんのアクティブ寄りのモデルをチョイスできたら面白そうと思いました!
もしScale CraftさんがUL周りで帽子を作り始めたら個人的にクリック祭りになると思うんだよな〜と妄想したりもしました…が、別のラインでは山用の帽子が販売されているそうです。しかも特許取得の「風抜けに特化している形状」だそうです。こちらもかなり気になります!!
カルチャーを背負って歩く、大人のための制服

僕らが山に向かうとき、バックパックに詰めるのは行動食と水だけではありません。これまでの人生で聴いてきた音楽、憧れたデザイナーの哲学、そしてストリートで過ごしたあの熱狂の記憶。
そうした「目に見えないカルチャー」も一緒に背負っている部分もあるかもしれません(最近の「スタイル出す」という流れのように川の流れのように)
Scale Craftの96年製リプロダクトキャップは、かつて僕らが熱狂したグッドイナフの魂を、現代のフィールドに連れ出すための最高のチケットです。
誰もが知るメジャーブランドのロゴに頼るのではなく、モノの背景にあるストーリーと職人の意地を身にまとう。泥にまみれ、汗をかき、お手入れを繰り返すことで、このキャップは完成に近づくのでは…?とか思います。
今年のハイクには、ぜひこのキャップを頭に乗せて出かけてみたいなぁと思いました。山と街の境界線を曖昧にする、アイテムになるのでは…?とそんな気がする夏の前のある日なのでした。
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